マーケティングファネルとは?3種類のファネルと活用法を徹底解説!
目次
マーケティングファネルって何?
マーケティングの実務にどうやって生かしたらいいの?
そんな疑問を持っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
マーケティングに携わっている方なら「マーケティングファネル」という概念を聞いたことがあるかもしれません。戦略を打つときに、マーケティングファネルの仕組みを知っておくと、効果的な分析ができます。この記事では、マーケティングファネルの意味や基本的な知識、効果的な使い方などを解説します。
1、マーケティングファネルとは?
「マーケティングファネル」とは、マーケティング戦略を考えるときに使う概念で、消費者が商品などを認知し購入するまでの行動プロセスを図式で表したものです。
一般的に消費者が商品を購入するまでには、商品について調べたり、他の似た商品と比べたりといったステップを踏んでから購入に至ります。しかし、途中で商品に対する興味を失ってしまうなどの理由で、購入せずに離脱する人もいます。そのため、購入の段階に近づくにつれて、対象人数が減少していきます。
マーケティングファネルでは、その現象を逆三角形で表します。その形が液体を注ぐための口の小さな容器「Funnel(ファネル、日本語では漏斗)」に似ているため、マーケティングファネルと名付けられました。
2、マーケティングファネルはもう古いのか
近年、「マーケティングファネルはもう古いのでは?」という声を聞くようになりました。マーケティングファネルは、インターネットが普及する前の購買行動を図式化したため、現在の多種多様な購買行動には当てはまらないというのが理由です。
以前は、商品情報をテレビや雑誌の広告を見て購入するなど、認知から購買までの行動が直線的でした。
一方、現在は購入までの道筋が枝分かれしています。消費者は広告以外にも、商品のレビューを見る、インフルエンサーのSNS発信から情報を得る、比較サイトを参考にするなど、さまざまなルートを通って購入に至ります。
消費者の購買行動が多様化することにより、マーケティングファネルも変化しました。そのため、マーケティングファネルが古いとは言いきれないでしょう。
また、BtoCの購買行動は多様化が進む一方で、BtoBマーケティングは以前と比べ、意思決定フローに大きな変化が見られません。BtoBにおいては、マーケティングファネルを使った施策は有効と言えます。
3、3種類のマーケティングファネル
(1)パーチェスファネル
パーチェスファネルは商品を購入するまでのプロセスを「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」の4つのフェーズで構成された基本的なマーケティングファネルで、「購入」をゴールとします。マーケティングにおいてファネルといえば、パーチェスファネルを指すのが一般的で、漏斗の形、逆三角形を成します。
パーチェスファネルを使うと、各フェーズにおける人数の減少が把握できるため、マーケティング施策の改善に有効です。例えば、「比較・検討」から「購入」へ進む段階で離脱人数が増加する場合は、この部分に課題があるとわかります。課題を抽出し、施策を見直すことで改善へとつながるというわけです。
ベースとなったのは、消費者の購買行動をモデル化した「AIDMA(アイドマ)」です。購買までのプロセスは「Attention(注意)」「Interest(興味・関心)」「Desire(欲求)」「 Memory(記憶)」「Action(行動)」の5つのフェーズに分けて考えます。
(2)インフルエンスファネル
インフルエンスファネルは、消費者が商品を購買した後の行動プロセスを表したものです。「リピート」 「ファン化」 「共有・拡散」の3つのフェーズで構成され、消費者に商品を「共有・拡散」してもらうことを目的としています。パーチェスファネルとは逆の三角形になることが特徴です。
消費者がある商品を購入した後、再度同じ商品を「リピート」して購入すればするほど、商品の「ファン」になります。そして、商品を使用した感想や魅力をSNSなどインターネット上に「共有・拡散」し、それを見た別の消費者が対象の商品に興味を持ち購入につながるなど、宣伝効果が得られるという仕組みです。
商品を購入した後の行動や、その行動による影響までを見据えたマーケティング施策を講じるときに使います。
インターネット上における消費者の発信が他の消費者へ影響を及ぼすようになったため、インフルエンスファネルが生まれました。元になったフレームワークは、AISAS(アイサス)といい、消費者がインターネット上で商品を認知してから購入するまでのプロセス「Attention(注意)」「Interest(興味・関心)」「Search(検索)」「Action(行動)」「Share(共有)」の頭文字をとって名付けられました。
パーチェスファネルの元になったAIDMAとインフルエンスファネルのもとになったAISASの違いは、「注意」「興味・関心」から「行動」までの流れが異なることです。AIDMAが「欲求」「記憶」を経て「行動」へ移すのに対し、AISASではインターネットで「検索」をしてから「行動」します。また、行動に移してからSNSなどを通じて情報を「共有」するのもAISASの特徴。インターネット上の情報が影響力を持つ現代にマッチした、最新のフレームワークです。
(3)ダブルファネル
ダブルファネルとは、パーチェスファネルの下にインフルエンスファネルを加え、砂時計のような形状で表したマーケティングファネルです。
認知から購入(パーチェスファネル)と、購入から発信(インフルエンスファネル)をひとつの購買行動の流れとすれば、より大きなマーケティングの成果が期待できるであろうという発想から誕生しました。
従来のパーチェスファネルは、消費者が商品を購入した時点で完了してしまいます。新たな購入者を得るためには、商品を宣伝し続けなくてはいけません。また、新しい購入者の獲得は、マーケティング上で最も負担がかかります。
しかし、ダブルファネルを活用したマーケティング施策では、顧客が顧客を生み出す循環が生まれます。購買者が購入した商品のファンになり、購入者自身がインターネット上で情報共有や発信を行うことで、さらに新しい顧客を作り出すという仕組みです。購入者が自発的に商品の宣伝をしてくれるわけですから、企業側としては少ない労力で新たな購入見込み客を獲得できます。
このように新たな顧客を生み出すには、消費者が購入して終わりではなく、他の人にも商品を勧めたくなるような、魅力的な商品やサービスを作り出すことが重要です。ダブルファネルで消費者の購買行動を分析すれば、認知度・購入率・リピート率の向上につなげられ、マーケティング施策の効果を最大限に得られるでしょう。
4、ファネルの考え方を実際の業務でいかしてみよう!
マーケティングファネルについて理解ができたら、次は活用方法を見ていきましょう。
ここでは、オンラインショッピングを例に解説します。
オンラインショップで、ある商品の売り上げが伸び悩んでいるとします。単に消費者の購買行動全体を見るだけでは、どうすれば売り上げが伸びるかは見えてきません。そこで、マーケティングファネルに落とし込んで、消費者がどのフェーズでどのくらいの人数が離脱しているのか明確にしましょう。
まず、消費者が商品を見つけてから購入するまでの行動を「商品一覧」「商品詳細」「カートに入れる」「購入」のフェーズに分けます。次に、各フェーズへ進んだ人数を集計しましょう。すると、次のフェーズへ進むときに離脱する人数が見えてきます。
最初のフェーズ「商品一覧」100人、次の「商品詳細」が80人、「カートに入れる」が20人、そして「購入」した人数が10人でした。
ここでわかるのは、「商品詳細」から「カートに入れる」へ進む段階に最も多くの離脱者が出たこと。そこで、見直すべきは商品詳細のページであるということがわかります。
例えば、商品詳細のページを見直してみると、「商品詳細の情報が、消費者の購買意欲を促すほど魅力的ではない」という課題が見えてきました。その課題に対して、商品の魅力が消費者に伝わるような商品詳細ページに作り直す、といった対策を打てば良いのです。その結果、ゴールに至るまでの離脱率を減らすことで売り上げを伸ばせます。
もう一点、課題を見てみましょう。商品を「カートに入れる」人のうち、半分が脱落し購入に至っていません。確認してみると、カートに入れてから支払いページへアクセスできる「購入ボタン」の場所が見つけづらいことがわかりました。購入ボタンを目立たせたり、わかりやすい場所に配置したりすれば良いと、打開策が見えます。
このように、マーケティングファネルを用いて分析すれば、ボトルネックはどこにあるのかが明確となり、各フェーズの消費者に対してどのような対策を講じれば良いのかがわかります。
5、マーケティングファネルの段階別に施策を考えよう
(1)認知フェーズ Top of Funnel(トップオブファネル)
「認知フェーズ」は、マーケティングファネルの中で最も初期の段階「Top of Funnel(トップオブファネル)」にあたり、より多くの消費者に商品を知ってもらうことが目的の段階です。
この段階では、消費者は商品について全く知りませんので、自発的に商品を調べようとはしません。そこで、不特定多数の消費者にアプローチができるリスティング広告やバナー広告といったWeb広告が有効です。予算があれば、テレビCM、新聞・雑誌の広告なども活用すれば、より多くの消費者へ訴求ができるでしょう。
また、企業向けの商材であれば展示会への出展も有効です。
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さらに、SNS上で影響力や拡散力のある人に商品の情報発信をしてもらうインフルエンサーマーケティングも有効です。
インフルエンサーについて知りたい方は『インフルエンサーとは?マーケティングで活用するメリットや注意点を解説!』も併せてご覧ください。
(2)興味・関心フェーズ Middle of the Funnel(ミドルオブファネル)
興味・関心フェーズでは、消費者の商品に対する興味や関心を高めることで、次のフェーズへつなげます。ファネルの中間点「Middle of the Funnel(ミドルオブファネル)」にある段階です。
このフェーズにある消費者は、商品についてインターネットを用いて検索をするなど、自発的に情報を集めます。そのため、検索したときに対象商品に関するコンテンツがヒットするよう対策をしましょう。例えば、商品の使い方や使用感などを伝える記事を作成した場合、顧客が検索しそうなキーワードを予測し、SEO対策を取り入れれば消費者の目に留まりやすくなります。
さらに動画配信サイトが普及した今、動画を使ったマーケティング施策も有効です。視覚的に訴求でき、より購買意欲を煽れるでしょう。
(3)比較・検討フェーズ Middle of the Funnel(ミドルオブファネル)
消費者が購入の意思を固める比較・検討フェーズは、重要な段階です。消費者は、他にもっと良い商品がないか探したり、購入するとどんなメリットがあるか考えたりします。
このフェーズは、興味・関心フェーズと同じ「Middle of the Funnel」に含まれますが、よりゴールに近い地点にあります。商品を購入してもらうため、より深く詳細で、顧客に寄り添ったアプローチをしましょう。
実際に商品を試せる無料体験・トライアルを実施したり、導入事例を伝えたりするなど、消費者に商品を使用したシーンをイメージしてもらうと購入につながりやすくなります。
また、購入してもらうためには消費者とのリレーションシップの構築も大切です。SNSのフォローやブログ購読などを通じた、継続的なコミュニケーションを図ると良いでしょう。
(4)購入フェーズ Bottom of the Funnel(ボトムオブファネル)
商品を購入することがほぼ確定しているといえる「Bottom of the Funnel(ボトムオブファネル)」の消費者。この段階では、確実に購入へとつながるよう消費者へダイレクトな施策を打ちましょう。例えば「●月●日まで30%オフ!」といったオファーをかけると、購入意欲向上に有効です。
また、購入後に対するアプローチにも着目してください。購入者をインフルエンスファネルに囲い込み、リピート購入していただいたり、商品を他者に紹介していただいたりすることで売上向上につなげられます。定期的にセール情報のDMやメルマガを発信するなどして、関係性をつなげておけば、購入者が商品のファンとなってくれることもあるでしょう。
6、マーケティングファネルを理解して問題を把握しよう!
近年の消費者の購買行動はいくつものパターンが想定され、複雑でどう対策を講じたら良いか迷うかもしれません。
そこで、マーケティングファネルに落とし込んで、全体を把握し状況を整理するのがおすすめです。各フェーズでどのような施策を行うべきなのか、どの段階が最も大きな課題を抱えているのかが見えてきます。効果的な施策を立てるために、まずマーケティングファネルをしっかり理解しましょう。