【2022年版】バーチャル展示会とは?メリットデメリット・プラットフォーム4選・事例を紹介

【2022年版】バーチャル展示会とは?メリットデメリット・プラットフォーム4選・事例を紹介

「バーチャル展示会に出展したいけど何をすればいいかわからない」
「自社でバーチャル展示会を主催したいけど、簡単にできるの?」
そんなお悩みをお持ちの方、いらっしゃいませんか?

「ウィズコロナ」「アフターコロナ」といわれる昨今、非接触のバーチャル展示会に注目が集まっています。バーチャル展示会のメリット・デメリット、成功事例、ぜひ活用したいおすすめの無料プラットフォームを紹介します。この記事で基本を押さえましょう。

1、バーチャル展示会とは?

出典:https://online-event.dmm.com/

バーチャル展示会とは、従来は大規模な会場に多くの来場者を集めて開催していた展示会をWebの仮想空間で開催することです。バーチャル展示会は「オンライン展示会」「Web展示会」などと呼ばれることもあります。

バーチャル展示会はオフライン展示会と同様の内容で開催されており、企業の商品・サービスの紹介や、新商品のバーチャル展示、事例紹介、基調講演やセミナーなど、さまざまなコンテンツがWebで提供されています。

2019年からの新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)(以下略、新型コロナ)の流行により、イベントの開催中止を余儀なくされたため、代替手段としてのオンラインでの開催が注目を浴びました。昨今はオフライン展示会とバーチャル展示会を同時開催する「ハイブリッド開催」も見られます。

バーチャル展示会は開催の自由度が高く、利用者の参加しやすさも相まって世の中に浸透しつつあります。展示会の会期が終了しても、後日アーカイブとして展示・配信し、顧客の利便に供することもできます。

2、バーチャル展示会の事例は?開催形式別に紹介! 

ここで、バーチャル展示会の事例を自社開催と合同開催の形式別に紹介します。

(1)【自社サイトで公開】ヤンマーのバーチャル展示会

ヤンマーホールディングス傘下のヤンマーアグリジャパンは、2020年から自社サイトでバーチャル展示会を開催しています。2019年からの新型コロナの流行によりオフライン展示会の開催が制限されたため、同社はデジタル活用による顧客接点の確保に動きました。近年、国内の農家戸数の減少にともない農業機械の売り上げは減少傾向ですが、バーチャル展示会の開催や政府の補助金制度などで大きな下落は回避できたようです。

初回は2020年7月~9月までバーチャル展示会を開催し、会期中に随時コンテンツを新設して、展示会の規模を拡大しました。同社のバーチャル展示会は上半期と下半期に開催する形式です。同社が力を入れている下期の展示会は、10月もしくは11月から年度末までの常設型となり、秋以降の新商品などを紹介しています。

2021年下期の展示会はウォークスルー型のUIで、商品ラインナップや紹介動画、オンラインカタログなど、Webコンテンツを展開しています。また、非接触での営業手段も確保しており、バーチャル展示会内で商談の予約も可能で、オンライン上で顧客との接点を持てるよう仕組み化が進んでいます。

出典:https://expo.yanmar.com/agri/hall/

(2)【合同開催&プラットフォーム活用型】最大級のバーチャル展示会IT&MARKETING EXPO

「IT&MARKETING EXPO」は、オンラインイベントのマネジメントシステムを提供する株式会社ストラーツが主催する、日本最大級のバーチャル展示会です。ITサービス・ソリューションを対象とし、2022年1月時点で2回開催され、初回の2020年9月は200社以上の出展と4,000名以上の来場申し込みがあり、2回目の2021年1月は出展を300社に限定し6,179名の来場申し込みがありました。

主催による開催レポートによると、2021年1月開催の展示会の1社あたりの平均リード獲得数は約100名、展示会全体での商談数は2,950件に上ったといいます。イベントシステムのベンダー主催のバーチャル展示会らしく、リードにアプローチしやすい点も盛況につながりました。たとえば、来場者との直接チャットによるアポイント獲得や、未来場者へのプッシュメールによる来場喚起の機能です。さらにオフライン展示会のように、来場者をすぐに照会できる仕組みづくりも参考になります。この展示会では、来場者はワンクリックで出展社とチャットやZoom商談ができ、多くのリードの創出につながりました。

3、バーチャル展示会のメリット

バーチャル展示会の主なメリットに、以下の7つがあげられます。

(1)コストの削減

バーチャル展示会はオフライン展示会に比べ、開催コストや出展コストを低減できます。

①開催コストの低減

バーチャル展示会では、会場の準備や管理コスト、時間コストを大きく削減できます。
会場設営はWeb制作業者に委託でき、オフライン展示会の設営・撤去に要していた多大な人員コストを省けます。さらに、出展担当者が会場に移動する時間と交通費も削減できます。
また、出展中は出展担当者は企業ブースにこもり切ることなく、並行して他の業務を行うこともできます。

②出展コストの削減

オフライン展示会では、出展費用は約30万~60万円。それに加え会場設営に必要なパネルや販促物、チラシなどの準備にさらに費用がかかります。一方、バーチャル展示会は10万円程度からと格安で出展でき、準備はほぼオンライン上で完結。印刷物等の準備がいりません。

さらには、低コストで出展できるバーチャル展示会「DMMオンライン展示会」もあります。

(2)時間・場所・天候の影響を受けない

バーチャル展示会はWeb開催のため、インターネット環境さえあれば、国内のどこからでも来場できます。さらに、展示物を常時Web掲載しておけるので、来場者はいつでも自由に展示会に来場し、展示コンテンツを利用できます。

オフライン展示会では台風や大雪などによる交通機関の計画運休により、開催の中止を余儀なくされることがありますが、オンライン開催であれば天候の影響を受けません。

(3)ユーザーの行動データの見える化

バーチャル展示会はオフライン展示会と違い、来場者の行動データを追跡・記録して可視化できます。
オフライン展示会では、来場者一人ひとりがどの企業ブースや商品に興味を持っていて、実際にどの企業ブースを訪問したのかまでの細かい行動をすくい上げるのは困難です。来場者の行動を見える化できると、リードの選別が容易になり、商談に向けてリードごとにきめ細かくアプローチができるので効率的です。

(4)新型コロナの感染リスクが0

バーチャル展示会は完全に非接触での開催方式になります。そのため、営業活動で懸念される新型コロナの感染リスクを削減します。
自社の従業員や関係者、顧客の安全を考えて、バーチャルでの展示会を開催できる選択肢も備えておくのが賢明です。

(5)オンライン上で名刺交換ができる

DMMオンライン展示会など、バーチャル展示会のプラットフォームによってはオンライン上での名刺交換ができます。

オフライン展示会では名刺交換を紙で行いますが、その場合データベースやMA(マーケティングオートメーション)ツール、名刺管理ツールへの入力作業が必要です。

一方、バーチャル展示会では、来場者情報はデータで取得できるため、入力作業を短縮でき、入力ミスや名刺の紛失リスクも防ぐことができます。

(6)遠方の顧客にもアプローチできる

通常、オフライン展示会の会場は、最大公約数的に多くの顧客が来場しやすいような立地が選ばれます。出展の関係上、自社拠点に近い展示会場を選びがちで、遠い地域の顧客だと、来場が望めないためアプローチしにくいのが実情です。

反面、バーチャル展示会はWeb開催のため、地理的な制限を受けません。展示構成やUIなど、顧客のニーズに沿ったコンテンツやサービスを提供すれば、今まで自社がカバーしきれていなかった遠方の地域の顧客にもアプローチできるようになります。

(7)一度出展したら再出展が簡単

期間限定かつ定期開催型の合同開催プラットフォームにおいて、いつも同じ形式での展示をしている企業の場合、バーチャル展示会ならば再出展は簡単だといえるでしょう。バーチャル展示会プラットフォームのサービス形態にもよりますが、展示会の展示形式や雛形の変更がなければ、前回展示したコンテンツを同様に配置設定すれば良いからです。長期的にバーチャル展示会の準備負担を軽減したいなら、同じプラットフォームを継続利用するのも一つの方法です。

4、バーチャル展示会のデメリット 

バーチャル展示会のデメリットとして、主に以下の3つがあります。

(1)商材によっては魅力を伝えるのが困難

バーチャル展示会では、物理的な疑似体験を顧客に提供するのは困難です。
原材料や中間財、製品に限らず、実物を見てもらわないと意味がない商材だと、バーチャル展示会では顧客にその良さを伝えづらいのは確かです。その場合は、顧客に直接手に持ってもらう機会を提供できなくても、商材の紹介動画やAR機能のような補助資料を用意すると良いでしょう。適切な商品イメージが得られれば、顧客に興味を持ってもらえるはずです。また、実物を体験できないのを逆手にとり、商品サンプルの送付を条件に連絡先の提供を促すことで、リード情報を獲得する方法もあります。

なお、SaaSのようにオンラインで取引を完結できる商材であれば、Webで商品を紹介できるバーチャル展示会はむしろ強みがあるといえます。オフラインよりバーチャル展示会のほうが、出展社と来場者の双方に利便性があり、効率的に取引できるためです。

(2)集客が難しい

バーチャル展示会を自社で単独開催をする場合、対象市場の規模にもよりますが、来場者が集まりにくいのが難点です。開催予定をメールや広告出稿などで告知しても、十分な数の対象者にリーチできるとは限りません。既存客に新商品を案内するなど、明確な需要が見込めなければ、初めのうちはバーチャル展示会の単独開催は避けたほうがベターです。

オフライン展示会への出展と同じく、バーチャル展示会も合同開催型のプラットフォームを選んで出展すると集客に失敗しにくいでしょう。現在はバーチャル展示会においても、業種やテーマ別に開催する形式が取られることが多いです。自社商材に関連するテーマのバーチャル展示会のプラットフォームを見つけて利用すれば、多数の潜在顧客の来場が期待できます。来場者にとっても興味・関心のある分野の商品をまとめてチェックできるメリットがあるため、展示会への参加意欲が高まり、自社ブースへの訪問・購入検討につながりやすくなります。

オンラインイベントの集客アイデアについて知りたい方は『オンラインイベントの集客アイデア11選を紹介!成功のポイントも解説』も併せてご覧ください。

(3)サイトの構築が困難

バーチャル展示会を自社で単独開催する場合、専用のWebサイトの構築が必要になります。バーチャル展示会は通常のホームページと違って、さまざまな機能が求められます。たとえば、自社や商品情報を紹介する企業ブース、動画配信、顧客とのコミュニケーション手段であるチャット機能やWeb会議ツールとの連携などです。来場者の動向を見える化する管理ツールも実装できれば、リードの段階に応じた働きかけをしやすくなります。バーチャル展示会を安全に運営するには、Webのセキュリティも考慮しなくてはなりません。

Web制作会社にバーチャル展示会のサイトの構築を依頼するのも良いですが、現在はさまざまな展示会プラットフォームがあるので活用してみるといいでしょう。企業ブースデザインを自社用に作り込みたいといった強いこだわりがなければ、自社の紹介資料を決められた形式で登録する、既存のプラットフォームに出展するのが簡単です。

5、バーチャル展示会を無料で行うには?

バーチャル展示会といっても、さまざまな出展形式があります。バーチャル展示会にともなうデメリットを回避するためには、自社に適した方法を採用するのが一番です。

(1)自社でバーチャル展示会サイトを制作

バーチャル展示会は、出展社が自社のみの「単独開催」「専用展示会の形式での開催」ができます。
来場者を招き入れるバーチャル空間の導線デザインから、企業ブースのデザイン、プレゼンテーションのメディアまで、自由に作り込んで魅力ある展示会に仕上げられます。たとえば、ブランドイメージが重視される商材の場合、専用の展示会サイトで世界観を理解してもらうことで、販売提案も受け入れてもらいやすくなるでしょう。

単独開催のバーチャル展示会のメリットをあげると、以下の3つがあります。

  • 独自性を追求できる
  • 開催期間を自由に設定できる(常設も可)
  • 自社サイト内に併設できる

ただし、単独開催は自由度は高いものの、開催戦略や運営にあたってのルールを一つひとつ妥協せず決めていける主体性、それを実現させるリソースの確保が必要になります。そもそもバーチャル展示会の専用サイトの構築や、資料などの専用コンテンツの作成だけでも、手間と費用がかかります。専用サイトを立ち上げたものの、営業上どう活用していくのか、日々の運用体制はどうするのか、社内できちんと取り決めておかないと、ホームページの一コンテンツとして放置される恐れがあります。

(2)バーチャル展示会を合同開催するという手も!

バーチャル展示会が初めてで、Webマーケティングにも疎くノウハウがない、単独開催では集客の目処がつかずリスクがあると考えているなら、合同開催型の展示会に参加する方法があります。業界団体や大手メディア、自治体・公益法人等が主催する形式が多く、システム構築や出展費用、集客にかかる負担を抑えられます。

合同開催のバーチャル展示会の出展募集は検索サイトでも探せますし、メディアでも見つけられます。バーチャル展示会を主催する組織や企業によっては、出展に条件を設けるところもあります。たとえば、主催団体の会員資格が必要とされたり、出展対象の分野が指定されていたり、指定地域内に拠点があるなどです。
出展申し込みはオンラインで済ませることもできますが、合同開催の趣旨を考えれば、ある程度の互助や協力を申し出る意識も持たなくてはならないでしょう。

なお、合同開催型のバーチャル展示会の場合、来場者の行動データなどの詳細は主催にあります。リードデータの活用に意欲的な企業であれば、合同開催の展示会よりも自社主催型の展示会運営に軸足を移していくのがベターです。

(3)プラットフォームの活用!無料で出展できるバーチャル展示会

予算に余裕がなくても、無料で出展ができるプラットフォームなら気軽にバーチャル展示会を始めやすいです。
バーチャル展示会に興味があるが、予算やリソースのギャップもあって取り組めていない、新規分野に参入予定などでテスト的にWebマーケティングを試したい、予算に限りがあるベンチャー企業である等、さまざまな事情があっても無料であれば開催に向けた展望が見えてくるのではないでしょうか。

無料のバーチャル展示会といっても、いくつか種類があります。出展そのものが無料の場合と、一定期間だけ無料で試せるトライアルプランを設けているケースがあります。サービスの提供事業者にも、展示会の運営業者やシステムサービス事業者があるため、自社の開催形態に向く事業者を選択することが必要です。また、無料だからとりあえず申し込むのではなく、ある程度の方針や展望を定め、さらに機能やサポート、また利用における諸条件をしっかりチェックしてから出展準備に取りかかりたいものです。

Webマーケティングに不安があるのであれば、まずは無料のバーチャル展示会を試してコツをつかみ、顧客の反応を伺いながら、拡販を狙っていくのも一つの方法です。

6、無料で出展できるバーチャル展示会おすすめプラットフォーム3選

出展費用が無料のバーチャル展示会のプラットフォームのうち、おすすめの4社を紹介します。

(1)ネクシビ

出典:https://nexhibi.com/index.html

オフラインとバーチャル双方の展示会ブースの企画と運営を手がける株式会社フジヤは、バーチャル展示会のブランド「ネクシビ」を立ち上げました。ネクシビはフルオーダーのブースよりも格安に展示会を開催できるのが特徴です。ブースデザインのテンプレートフォーマットを利用するため、フルオーダーよりも手軽に短期で構築しやすいのもメリットです。

無料条件:開設から1か月間はサーバー利用料が無料

ネクシビのサービスは、メニュー固定の定額プラン(2種類)か、フルオーダーのプラン、オプションで構成されています。なお、定額プランにはバーチャル展示会のブースとサーバー利用料、展示会運営に必要な基本機能がセットになっています。下位プランでも150万円(税別)のため、まとまった予算が取れる企業向けといえます。

なお、上位プランのパノラマ3Dの展示ブースは、ブース制作のプロの手によるものだけあって、本格的な仕上がりです。高級感のあるデザインが好みなら候補に上がるのではないでしょうか。

(2)WebEXPO Master

出典:https://www.systems.nakashima.co.jp/dutiessolution/webexpomaster/

WEB EXPO Masterはバーチャル展示会用のSaaS(クラウドツール)です。提供主体は汎用CADシステムベンダーの株式会社システムズナカシマで、展示会の出展経験とCAD、CMS(コンテンツ管理システム)の開発技術を生かし2020年にサービスを開始しました。シンプルなブースデザインとセルフ構築型のため、安価に使えるのが特徴です。

無料条件:1社単独での展示会の1ブースに限り、最低利用期間3か月のうち1か月間は利用料が無料

SaaS型のサービスらしく、1か月間無料で使用感を試せる制度があります。管理画面の操作や使い勝手、ブース構築と動作に問題がないか確認できます。ブース毎の課金制で規模拡大にも対応し、ブランドや業態、アイテムごとのブース設置もしやすいです。バーチャル展示会で必要なコミュニケーション機能の実装や、来場者の利用ログ機能もあります。制作会社に任せず、SaaSで安価かつ手軽に自社ブースを構築したい企業に向きます。

(3)meet × meet(ミーツ)

出典:https://service.meetxmeet.com/

meet × meet(ミーツ)は、マーケティング会社の株式会社大伸社によるバーチャル展示会のプラットフォームサービスです。単独開催から、最大100社の出展と来場者10万人までの大規模なバーチャル展示会に対応します。サポートが充実しており、展示会の企画からブース設計・構築、展示用コンテンツの制作、運営や来場者のサポートまでカバーします。出展社、利用者ともに使いやすい、シンプルかつ明快なインターフェースです。

無料条件:初回1か月の無料トライアル(要アンケート回答、顧客データは本採用後に活用可)

無料期間中はシステムの操作確認のほか、顧客を招待したテスト展示会を開催し、大伸社の運営サポートも含めたmeet × meet(ミーツ)の使い勝手を総合的に試せます。料金は最低プランが50万円以上、サーバー保守費用は月10万円と高額ですが、バーチャル展示会の企画運営から顧客サポートまで全て委託し、会期中は営業に注力したい企業向けです。

7、バーチャル展示会を活用して自社をアピールしていこう!

バーチャル展示会は通常の展示会よりも安価に出展しやすく、利用者にとっても来場しやすい方式のため、今後も企業展示会の一つの形式として定着すると考えられます。Web開催は自由度が高く、展示ブース内製の格安開催から、プロのデザインによる本格的なブースまで、多様なスタイルで開催できるのもメリットです。

2019年からの新型コロナの流行をきっかけに、社会も企業もデジタル移行の機運が高まっています。バーチャル展示会を自社の営業活動の一つとして取り入れ、拡販につなげていきましょう。

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