マーケティング戦略はどのように立てる?立案のための5つのステップ

マーケティング戦略はどのように立てる?立案のための5つのステップ

マーケティングを成功に導くためには戦略が重要とはよく言われますが、具体的にどのようにして戦略を立てればいいか迷うケースは多いのではないでしょうか。ひと口にマーケティングと言っても、さまざまな切り口があり、どのようにすれば売り上げにつながるかは商品やサービス、また市場における立ち位置やイメージなどによっても大きく異なります。

今回は、効果的なマーケティング戦略をどのように立てればいいのか、なぜ戦略を立てることが重要なのかを説明します。

まずはマーケティングの概要について知りたい方は『マーケティングの目的は「売れる仕組みを作ること」マーケティングの基礎と戦略設計に必要なフレームワーク』をご一読ください。

マーケティング戦略とは

マーケティング戦略とは、市場のニーズをくみ取り、それに沿ったアプローチを考える一連の取り組みを言います。

マーケティングにはマスマーケティングやWebマーケティング、SEOマーケティング、イベントマーケティングなど多種多様な手法がありますが、いずれもただ実施すれば効果が上がるというものではありません。

例えば、家庭で日常的に使われる食器用洗剤の売り上げを伸ばしたいのに、検索エンジンでの露出を増やすSEOマーケティングばかりに取り組んでも、あまり効果は期待できません。日用品であれば、テレビCMやチラシなどの広告、または量販店での販促イベントなど、日常的に使用する主婦層にアプローチしやすい手法に注力する方が効果的と言えるでしょう。

また、マーケティングにおいては顧客に対して発信するメッセージも重要なポイントとなります。

例えば、前出の食器用洗剤が、環境負荷の低い新開発の成分で作られていたと考えてみましょう。環境負荷が低いというのは近年のエコブームにおいて大きなアピールポイントになりますが、環境意識の高い層がどれだけ見ているか分からないテレビCMでそれだけを声高にアピールしても、効果があるかどうかは正直疑問が残ります。

環境負荷の低さを全面的にアピールしたいのであれば、自然派志向の人たちが好むような雑誌やイベントなど、ある程度ターゲットをセグメントできる場を選んだ方が効果を期待できるでしょう。この場合、テレビCMのようなマスに対する広告では「従来どおりの洗浄力と泡切れなのに、環境負荷も低い」といったように、機能面を合わせてアピールする方が、顧客のニーズにかなったアプローチと言えます。

このように、マーケティングで成果を生み出すためには、アピールしたい商品やサービスの性質を考慮し、それに合わせたアプローチ方法やメッセージを選択することが重要です。マーケティング戦略とは、「どのような顧客に、どのような価値を、どのように提供するか」を考える取り組みと言い換えることもできます。

マーケティング戦略の重要性

マーケティング戦略が重要とされている背景には、インターネットやスマートフォンの普及により、企業と顧客との接点がこれまでと比べ飛躍的に増えていることが挙げられます。

従来は、マーケティングといえばテレビCMや新聞広告などのマスメディアを通じ、大衆に向けて同じメッセージを発信するという手法が一般的でした。しかし、最近はインターネットやスマートフォンが普及したことで、企業サイトやブログ、SNSサイト、Web広告など、さまざまな場面で顧客と接点を持つことが可能になっています。そのため、少ないコストで成果を生み出すためには、ターゲットに合わせてアプローチする方法を変えることが重要になっています。

加えて、最近は商品やサービスの多様化が進み、顧客一人ひとりの細やかなニーズに対応する必要が出てきました。マス広告のように、すべての人に対して画一的なメッセージを発信するだけでは顧客の心には刺さりにくく、商品やサービスに対するニーズや興味関心の度合いに合わせて、一人ひとりに合わせたメッセージを発信していく必要性が高まっているのです。

マーケティング戦略のメリット

(1)効率的に売り上げを伸ばすことができる

通常、マーケティングについて考える場合は、4P分析やマーケティングファネルなどのフレームワークを用いて市場の状況や顧客のニーズを分析し、それに基づいて戦略を練ります。誰にどのようなアプローチを行うのが効果的か、しっかりと分析した上で取り組むため、個人の経験や勘に頼ることなく、効率的に売り上げを伸ばすことができます。

(2)多様化するニーズに対応できる

顧客のニーズが多様化したことで、一人ひとりに合わせた戦略立案が必要になったことは先にも紹介したとおりですが、これはマーケティング戦略を考える上では大きなメリットと言えます。画一的なメッセージを発信するよりも、一人ひとりに合わせたメッセージはより心に刺さりやすく、売り上げにつながる可能性が高くなります。ターゲットのことをよく理解することで、より確度の高いマーケティングを実施することができるのです。

(3)施策の評価がスムーズ

市場や顧客のニーズを分析し、一人ひとりに合わせたアプローチを行っても、思ったような効果が得られないこともあります。このような場合、データをもとに戦略を考えるマーケティングなら、目標がどこまで達成できたのか、また、何が原因だったのかを定量的に分析し、施策を評価することができます。そのため、うまくいかなかった原因を把握し、改善後の施策実施までをスムーズに実行できるというメリットがあります。

マーケティング戦略を立案するためのステップ

マーケティングに取り組む際は、市場の状況や顧客のニーズを分析し、それに基づいて戦略を立案することが重要です。一般的には、以下のようなステップで戦略を考えます。

Step1. 環境分析

まずは、商品やサービスを投下したいと考えている市場の状況を分析します。具体的には市場における自社の立ち位置や競合他社の動向など、周囲の環境についてよりよく理解することから始めましょう。分析の際には3C分析、PEST分析、SWOT分析などのフレームワークが役立ちます。

分析手法については『マーケティング戦略の立案のために知っておきたい7つの分析手法』で詳しく解説しています。

Step2. ターゲット選定

市場について理解が進んだら、次はターゲットとする顧客を決めます。性別や年齢だけでなく、職業や居住地域、趣味や好みなどペルソナを設定することでターゲットをイメージしやすくなります。

Step3. ポジショニングの決定

ここでは、市場においてどのような位置につきたいか、ターゲットからどのようなイメージを持たれたいかを検討します。自社のシェアや現在の立ち位置、また商品やサービスの強みなどを踏まえて、どのような位置に立てば利益を最大化できるかを検討しましょう。

Step4. ベネフィットの検討

ターゲットに対して、自社の商品やサービスがどのような価値を与えられるかを検討します。競合他社の商品やサービスにはない強みは何か、またそれがターゲットのニーズに合致しているかどうかを意識しながら、自社の強みを明確にしていきます。

Step5. マーケティング戦略の策定

ここまで分析した内容を、具体的なマーケティング戦略に落とし込みます。どのようなターゲットに対して、どのようなメッセージを届ければいいか、ターゲットの心に刺さる自社の強みは何かを検討し、メッセージを最も効果的に届けられるチャネルを用いてアプローチを行っていきます。

自分たちが勝てる方法を見極める

マーケティングにはさまざまな施策がありますが、どのような方法を選んでも効果があるわけではありません。効果的に売り上げを上げるためには、自社の商品やサービス、また市場での立ち位置などをしっかりと分析し、自分たちが勝てる方法を見極めることが大切です。マーケティング戦略は、その勝ち筋を定める方法とも言えるでしょう。

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