市場調査の基礎知識、4つの調査方法と調査実施時に知っておきたいポイント
マーケティングを実施する際は、市場やターゲットをよりよく理解することが重要です。そのための施策はいくつかありますが、なかでもアンケートやインタビューなどを通して精度の高いデータを集めることができるのが市場調査です。市場調査により具体的にどのようなことが分かるのか、またその方法や実施時のポイントなどをまとめました。
まずはマーケティングの概要について知りたい方は『マーケティングの目的は「売れる仕組みを作ること」マーケティングの基礎と戦略設計に必要なフレームワーク』をご一読ください。
そもそも市場調査とは?
そもそも市場調査とは、どのような意味の言葉なのでしょうか。
ここでは、市場調査の定義や類似した言葉との違いについて解説します。
(1)市場調査の定義
市場調査とは、アンケートやインタビューなどを通して、市場の動向やトレンド、顧客のニーズなどを調査することをいいます。ビジネスの場では新商品の開発や、新しい市場開拓の際によく行われる調査です。
マーケティング活動においては、市場や顧客のことをよりよく理解し、それに基づいて戦略を立てることが重要です。例えば新しくワインを売り出したいと思っても、どのような味のワインが好まれているか、どのくらいの価格帯が売れ筋なのか、どのような場面でワインが飲まれているのかといった情報もなくマーケティング戦略を立てるのは不可能です。市場調査により、ワインのトレンドや消費者が好むワインを分析し、それに基づいて商品開発を行うことが売り上げ拡大につながります。
例として、市場調査を行うことで以下のような情報を得ることができます。
- 商品のシェア
- ブランドの認知度
- 競合社数、競合ブランド数
- 消費者が商品にかける平均的な価格
- 商品の主な使用シーン
- 市場における自社・競合のポジション
- 地域ごとの利用率
- 時期による消費量の変化
(2)マーケティングリサーチとの違いとは?
市場調査と同じような文脈で使われるものとして、マーケティングリサーチという言葉もあります。市場調査がマーケットリサーチと呼ばれることもあって、混同されやすい両者ですが、厳密には異なる意味の言葉であることに注意が必要です。
マーケティングにおける調査活動には、市場調査(マーケットリサーチ)以外にも製品調査、広告調査などがあります。製品調査は試作品やサンプルを顧客に実際に使ってもらい、その感想や満足度を調べる調査です。また、広告調査は広告出稿による顧客の反応や、媒体ごとの広告出稿量などを明らかにする調査です。
一般的にマーケティングリサーチという場合は、市場調査だけでなく製品調査や広告調査などを含んでおり、商品開発や市場開拓のための調査だけでなく、開発した商品やサービスを展開し、将来的な予測を立てることを目的として行われる調査全般を指しています。
市場調査における4つの方法
市場調査にはさまざまな方法がありますが、大きく以下の4つに分けられます。それぞれの調査方法、またどのような場面で効果的かを見てみましょう。
(1)アンケート調査
アンケート調査は、郵送やFAX、Webサイトなどを通じて調査対象者にアンケートを配布して回答してもらう調査方法です。
市場調査のなかでは最も一般的に行われている方法で、Webで行えば大きなコストをかけることなく実施が可能なこと、また多くの人の意見を集めることができるなどのメリットがあります。調査できる内容はアンケートで回答しやすいものが中心となるため、価格や商品に対する満足度、認知度など、主に定量的な調査を行いたい場合に適しています。
(2)対面調査
対面調査は調査員が調査対象者に対し、電話やチャット、直接対面などでインタビューを行う調査方法です。
調査員1人が対象者1人を応対してじっくりとインタビューする1対1調査のほか、調査員1人が複数の対象者を応対し効率的に調査を進めるグループ調査など、いくつかの方法があります。いずれの場合も、調査対象者によって臨機応変に質問を変えることができ、アンケートのように決まった事項以外の質問をしやすいため、定性調査を行う場合に適した調査方法と言えます。
(3)ホームユーステスト
ホームユーステストは調査対象者に商品やサービスを実際に使用してもらい、その感想をアンケートなどで回答してもらう調査方法です。自宅でじっくりと使用させ、その上で回答を求めることができるため、商品の満足度や具体的な改善点など、ほかの調査より一歩踏み込んだ内容を調査しやすいメリットがあります。
(4)街頭調査
街頭調査は街中や展示会、イベント会場などで行われる調査です。質問方法はアンケート、対面いずれの場合も考えられますが、調査対象者は基本的にその場で選ばれるため、市場のリアルな意見を聞きやすいという特徴があります。地域や業種など、属性を限定して調査したい場合にも適した方法と言えるでしょう。
近年は街頭やオフライン展示会だけでなく、オンライン展示会で市場調査を行うケースも増えています。オンライン展示会は実会場で行うオフラインの展示会に比べ、参加者の社名や役職、連絡先などの情報を集めやすく、またアンケートを配布したり、画面越しに直接インタビューしたりするなど、効率的な市場調査ができます。展示会の来場者だからこそ商品やサービスに対する興味度合いも高く、質の高いデータ収集ができる場と言えるでしょう。
オンライン展示会で市場調査をした事例として『商談でのニーズ調査を通じて、最適な商品プラン構成が決定!』でご紹介をしています。是非ご参照ください。
注意するべきポイント
市場調査は商品やサービスの開発には欠かせない調査ですが、実施時にはいくつか注意するべきポイントがあります。
調査の目的をしっかり考える
市場調査に限ったことではありませんが、実施時には目的をしっかりと設定しておくことが重要です。市場調査は市場の動向やトレンド、顧客のニーズなどを知るための調査ですが、その目的は当然ながらケースにより異なります。
例えば、すでに新商品の着想を得ていて顧客のニーズとすり合わせをしたい場合は、ターゲット層がどのような購買行動をとり、どのように商品を利用しているか、競合他社の商品への満足度などが調査項目として挙げられるでしょう。一方で、まだ商品がアイデア段階の場合は、市場にどのようなニーズがあるか、既存商品に対してどのような不満を持っているかなどが調査項目として考えられます。
調査の目的をはっきりと設定しないまま進めると、本来知りたいことと質問内容に食い違いが発生してしまい、調査をする意義そのものが薄れることになります。市場調査を行う上では、まず何を明らかにしたいのか、どのような目的で調査を行うのかをしっかり設定することが重要です。
調査方法は目的に合わせて決める
市場調査の方法が大きく4つに分けられることは先に紹介したとおりですが、どの方法を取るかは、調査目的や明らかにしたいことに合わせて選択する必要があります。
例えば、アンケート調査は市場調査のなかでは最も一般的で、低コストで実施できることもあって選択する人が多い手法と言えます。しかし、アンケート調査はどちらかというと定量調査に適した手法で、商品の使い勝手や具体的な改善点など一歩踏み込んだ定性的な内容を知りたい場合には適していません。この場合、少し手間やコストがかかっても、定性調査に適した対面調査やホームユーステストを実施した方が、より知りたい情報に近づける可能性が高まります。
仮説を立てておく
市場調査を実施する上では、あらかじめ仮説を立て、それを検証するという姿勢が重要です。
例えば新商品開発のために顧客のニーズを調査したい場合、どのようなニーズがあるかをゼロから顧客に聞くのはいかにも非効率です。もし競合他社が似たような商品をすでに販売しているのであれば、実際にそれを使ってみて、強みや改善点などを想定した上で調査を行うことで、知りたい情報に早くたどり着くことができます。もし調査により仮説が間違っていることが分かった場合は、また別の仮説を立てて検証を繰り返します。こうしたサイクルを繰り返すことで、効率的に市場調査を行うことができるでしょう。
市場調査は市場の動向や顧客のニーズを知る施策
市場調査は市場の動向や顧客のニーズを知るために欠かせない施策です。しっかりと情報を集め、それに基づいてマーケティング戦略を立てることが、売り上げを加速させることにつながります。
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