アフターコロナの展示会マーケティングはどうなるのか?企業に求められる“3つ”の変革
目次
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下略、新型コロナ)の影響によって、オフライン展示会の中止や規模の縮小が相次いでいる状況です。厳重な感染対策のもとで徐々に再開しつつありますが、従来の規模まで戻るにはやや時間がかかるのではないかとの見立てもあります。「今後、展示会マーケティングはどうなるのだろうか」「どのような新しい集客活動に取り組めばいいのだろうか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで本稿では、コロナ禍における展示会マーケティングの状況を整理し、「アフターコロナの展示会マーケティングのあり方」について考えます。企業として時代の変化に対応するため、ぜひご参考にしてみてください。
コロナ禍のオフライン展示会に迫られた“大転換”
新型コロナの影響によって、従来のオフライン展示会はどのような転換を迫られたのでしょうか。
本章では、コロナ禍におけるオフライン展示会の変化について解説します。
(1)ブースへの出展を取りやめる企業が続出
2020年4月に第1回目の緊急事態宣言が発令され、感染リスクへの懸念がある大規模なイベントは中止・延期が求められました。それに伴って全国的にオフライン展示会が中止となり、新規の販路拡大や顧客との関係構築などが難しくなった企業も少なくありません。なかにはオフライン展示会への出展を取りやめる代わりに、自社で独自に特設サイトを立ち上げたり、オンライン展示会へ出展したりと代替案を模索する企業もありました。
(2)人数制限のもとで徐々に再開も
当初の規制が緩和されて以降は、徐々にオフライン展示会が再開する動きもありました。しかし、2021年4月に発出された緊急事態宣言では、イベントの収容人数に5,000人という上限が設けられました。そのため、主催者側は「来場を事前予約制にする」「入口で来場者数をカウントし、収容人数を超えないよう調整する」といったさまざまな対応が必要となりました。結果的に、来場者がコロナ禍前に比べ半減したオフライン展示会もあります。
(3)今も求められる厳重な感染対策
現在もオフライン展示会の開催時には、厳重な感染対策がとられています。具体的には、以下のような内容です。
- 来場者や出展社、関係者に対して検温を実施する
- 会場内の全員に対してマスクの着用を徹底させる
- 消毒液をはじめ、感染予防アイテムを会場内に設置する
- 通常のゴミとマスク・ゴム手袋などの廃棄物を分別する
- 講演者の演台や商談スペースにアクリルボードを設置する
出展社のなかには、「床に距離確保のための待機マークを設置する」「オンライン商談スペースを設ける」などの工夫をする企業もあります。出展社・主催者ともに、今後も感染対策への十分な取り組みが必要となるでしょう。
(4)「来場者側」の抵抗感が課題に
オフライン展示会は再開されつつあるものの、来場者側の意識に変化が生じているのも事実です。
株式会社展示会営業マーケティングが展示会の来場経験者に対して実施したアンケート調査(※)によると、「あなたは、コロナ禍の状況において、来場者として展示会に参加したいと思いますか」との問いに対し、「あまり参加したくない」が49.1%、「絶対に参加したくない」が8.5%という結果でした。その中には「密集に抵抗がある。ノベルティなど受け取りづらくなる」「ある程度はオンラインで対応可能だと判断しているので」といった声もあります。コロナ禍のオフライン展示会に対する、来場者側の抵抗感はまだ完全に拭えていないのが実情です。
※参照:約7割が「オンライン展示会に興味」~コロナ禍の展示会実態調査(来場者編)で明らかに~|株式会社展示会営業マーケティング
コロナ禍で加速した展示会の「オンライン化」
新型コロナの影響によって、各社で導入が加速したのが「オンライン展示会」です。
本章では、コロナ禍におけるオンライン展示会の実施状況や開催タイプなどについて解説します。
(1)各業界で「オンライン展示会」の実施が加速
オフライン展示会の中止や延期などで、商談機会を失った企業も少なくありません。特にBtoB企業において、オフライン展示会は新規リードの獲得やブランディングの中核となる施策だからこそ、影響は深刻です。それに伴い、現在数多くの企業で導入されているのが「オンライン展示会」です。オンライン展示会とは、インターネット上に仮想の展示会場を設置し、出展社が自社ブースで商品紹介やオンライン商談を行うイベントを指します。
※オンライン展示会について詳しく知りたい方は、『オンライン展示会とは?メリットやブースの出展方法を分かりやすく解説!』の記事も合わせてお読みください。
(2)オンライン展示会のメリットとは?
オンライン展示会には、オフライン展示会にはないさまざまなメリットがあります。
例えば、地理的な制約に縛られずに集客できる点です。オンライン展示会はインターネット上で開催されるため、都心から郊外、海外まで含めて幅広い地域のリードに来場してもらえます。オフライン展示会のように大雨や災害で中止になる心配もありません。また、リード情報を効率良く取得できる点も大きな強みです。オンライン展示会ではブースに訪問した来場者の情報(氏名・役職・来場目的・資料ダウンロードの有無・訪問回数など)をリアルタイムに取得できます。そのため、会期後のナーチャリングや商談創出につなげやすいという利点もあるのです。
※ナーチャリングについて詳しく知りたい方は、『顧客の「購買意欲」を育てるには?成約率をアップするナーチャリングのポイント』の記事も合わせてお読みください。
(3)オンライン展示会の開催タイプは企業ごとに異なる
オンライン展示会の開催タイプは、企業によって異なるのが現状です。
例えば、1社が単独でオンライン展示会を開催し、自社の商品のみPRするパターンが挙げられます。一方で、大規模な合同展示会に複数の企業がブースを出展するタイプも一般的です。予算を抑え、より集客力を高めるには後者の方が適しています。また、ブースの形式も「2D(平面)」や「3DCG(立体)」など、プラットフォームによってさまざまです。このように各社は訴求したい商品や予算に合わせ、最適な展示会場を選択しています。ブースの形式について詳しくは『バーチャル展示会とは? オフライン展示会との違いや成功のポイントを解説!』で紹介しています。
(4)オンライン展示会は、来場者の反応も前向き
近年急速に浸透してきたオンライン展示会ですが、来場者側の反応も前向きです。株式会社展示会営業マーケティングが行ったアンケート調査(※)によれば、完全オンラインで行われる展示会に対して「非常に興味がある」と答えた人が21.7%、「少し興味がある」人が43.4%と、実に65.1%の人々がオンライン展示会に興味を持っています。
また、同調査では完全オンラインの展示会に対して「実物を見ないと、やはりイメージ通りなのか不安」といった声もある一方で、「実際にオンライン展示会を体験したが、過不足ない上に、資料も保管できるのでいいことづくし」「移動時間ももったいないので、この先主流になってほしい」などの声も寄せられました。出展社側だけでなく、来場者側からもポジティブな反応が多く挙がっており、オンライン展示会の効能がうかがえる結果となっています。
※参照:約7割が「オンライン展示会に興味」~コロナ禍の展示会実態調査(来場者編)で明らかに~|株式会社展示会営業マーケティング
アフターコロナの展示会は「ハイブリッド」が主流に
コロナ禍でオフライン展示会の規模が縮小しているとはいえ、完全にオフライン展示会がなくなるわけではありません。オフライン展示会だからこそ得られるメリットも多くあります。そこで主流になってきているのが、「ハイブリッド展示会」です。本章では、ハイブリッド展示会の意味や開催形式、効果を分かりやすく解説します。
(1)ハイブリッド展示会とは?
ハイブリッド展示会とは、オフライン展示会とオンライン展示会をかけ合わせて実施するイベントのことを言います。例えば、オフライン展示会とオンライン展示会を同日に開催したり、オフライン展示会の会期後に未来場者向けの施策としてオンライン展示会を開催したりというケースです。実際に直近でも数多くの大規模な合同展示会が「オフライン展示会とオンライン展示会の同時開催」に踏み切り、国内外から幅広く集客を図っています。
(2)多様なハイブリッド展示会の形
ハイブリッド展示会はまだまだ発展途上ということもあり、以下のように活用形式は企業によってさまざまです。
- 例1:オフライン展示会とオンライン展示会に別々の日程で出展し、それぞれ別の層からの集客を狙う
- 例2:オンライン展示会を「オフライン展示会への集客チャネル」と考え、来場者をオフライン展示会へ誘導する
- 例3:オフライン展示会に来場できなかったリードを別途獲得するため、オフライン展示会の会期後にオンライン展示会へ出展し、プロモーション動画や商品カタログなどで商品の魅力を詳しく訴求する
(3)ハイブリッド展示会で得られる効果
ハイブリッド展示会は、オフライン展示会とオンライン展示会のメリットをどちらも得られるのが特徴です。例えば、オフライン展示会へは来場の難しい遠方や海外のリードも、オンライン展示会へなら来場を促せます。また、オフライン展示会で伝えきれなかった詳しい商品情報も、オンライン展示会でなら資料でじっくり訴求できるでしょう。このようにハイブリッド展示会は集客の幅を広げ、商品の詳しい訴求もでき、より販路の可能性を広げる効果があるのです。
アフターコロナの展示会マーケティングで取り組むべき“3つ”の変革
コロナ禍における展示会マーケティングの変化を受け、企業はどのようなことを実践すべきなのでしょうか。
ここでは、企業が展示会マーケティングに関して今日から取り組むべき3つの施策を紹介します。
(1)マーケティング戦略全体の見直し
近年はBtoBビジネスにおいて、顧客側の情報収集がどんどんオンライン化しています。そのため、オンライン展示会をはじめとするデジタルマーケティングの施策を従来のマーケティング戦略に組み込み、社内体制を刷新する取り組みが不可欠です。「どの施策でどのような層のリードを獲得するのか」「マーケティングとインサイドセールスはどう連携するのか」などを具体的に考えておくことで、よりスムーズに成果へつなげられるでしょう。
インサイドセールスについて知りたい方は『これまでの営業手法とは何が違う?インサイドセールスの役割とメリット』も併せてご覧ください。
(2)自社に合ったオンライン展示会の選択
オンライン展示会は、出展先によって出展費用やブースの種類もさまざまです。特に出展費用は5万円から1,200万円まで、プラットフォームによって大きな差があります。だからこそ、オンライン展示会を活用する際には、自社の現状を入念に考慮した上で出展先を選ぶことが大切です。具体的には、「自社に必要な機能は何か」「自社商品と展示会のテーマは相性がいいか」「顧客層の幅は十分か」などを検討しておくと、選択もスムーズでしょう。
(3)オンライン展示会用コンテンツの拡充
オンライン展示会に出展する場合は、ブースに設置するコンテンツが必要になります。例えば、商品のプロモーション動画やデモンストレーション動画、商品カタログ、ホワイトペーパーなどが代表的です。こうしたダウンロード・視聴用のコンテンツを充実させておくことで、オンライン展示会の成果創出も図りやすくなるでしょう。
※ホワイトペーパーについて詳しく知りたい方は、『良質なリード獲得に欠かせないホワイトペーパー その役割と制作・活用方法』もぜひ合わせてお読みください。
オンライン展示会は、アフターコロナの新基軸に
アフターコロナの展示会マーケティングにおいて、オンライン展示会は単なるオフライン展示会の代替手段としてではなく、販路拡大の新しい主力チャネルとして発展・定着していくことが見込まれています。そのため、今後に向けて早期に「オンライン展示会の活用方法」や「自社に合う出展先」を検討しておく姿勢が大切です。
「DMMオンライン展示会」は、DMM.com主催のオンライン展示会に低コストで出展できるサービスです。最短1時間程度でブースを登録できるため、初めての方でもスムーズに出展できるのが特徴です。加えて大手優良企業が多数出展し、出展総数15,000社を超えるDMM.comの展示会だからこそ、集客力の高さも見込めます。
オンライン展示会への出展をご検討の際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。