チャネルとは?マーケティングにおけるチャネル設計のポイントも解説!
目次
マーケティング領域でよく使われる言葉に、「チャネル」があります。しかし、「具体的な意味は分からない」「どのような種類があるのか知らない」という方が多いのではないでしょうか。チャネルを簡単に説明すると、企業が顧客と接点を持つための「媒体」や「経路」のことです。近年はオフラインからオンラインまでさまざまなチャネルが登場しているため、それぞれの特徴を踏まえた上で最適な設計方法を考える必要があります。
そこで今回は、マーケティングにおける「チャネルの意味や種類」、「組み合わせ方」などについて分かりやすく解説します。また、「最適なチャネルを設計する際のポイント」もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
マーケティングにおけるチャネルとは?
マーケティング領域における「チャネル」とは、顧客と接触するための媒体や経路のことを言います。具体的には、商品を顧客に販売する「小売店」や「ECサイト」、商品を店舗へ運ぶための「物流業者」や「卸売業者」、商品のことを顧客に広く知ってもらうための「広告」や「イベント」などがあり、すべて重要なチャネルです。
もともとチャネルは、水路や運河などを意味する「channel(チャンネル)」に由来しているといわれています。それがマーケティング用語に転じて、「企業が顧客にたどり着くまでの道筋や接点」の意味を持つようになりました。
マーケティングチャネルの種類とは?
マーケティングにおけるチャネルは「販売チャネル」「流通チャネル」「コミュニケーションチャネル」の3つがあり、それらを総称して「マーケティングチャネル」と呼びます。これらのチャネルには、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。本章では、3つのマーケティングチャネルそれぞれの意味や特徴について解説します。
(1)販売チャネル
販売チャネルとは、企業が顧客へ商品を販売するための接点となる場所や経路を指します。BtoCのビジネスで言えば、小売店や販売代理店、ECサイトが代表的です。また、BtoBのビジネスにおいては、展示会や対面営業、無料説明会などが挙げられます。販売チャネルが増えるほど顧客に購買を促しやすくなり、売り上げ拡大を図れるのが特徴です。近年はインターネットが発達したことで、SNSやフリーマーケットアプリも販売チャネルとして活用されています。
展示会について詳しく知りたい方は、『展示会とは?出展の目的や手順、オンライン展示会との違いも解説!』の記事も併せてお読みください。
(2)流通チャネル
流通チャネルとは、企業が商品を顧客に届けるまでの流通経路のことです。主な流通チャネルとしては、物流業者や卸売業者、小売業者が挙げられます。企業と顧客の間に複数の流通チャネルが介入することで、販売機会は飛躍的に広がりますが、その分中間マージンでコストがかかるのも特徴です。近年はインターネットの浸透に伴い、企業が卸売業者や小売業者を介さず、ECサイトやSNSで直接顧客とつながる例も珍しくありません。
(3)コミュニケーションチャネル
コミュニケーションチャネルとは、企業が顧客と情報のやりとりをするための媒体や手法のことです。例えば、TV-CMや新聞広告などのマス広告、リスティング広告やバナー広告などのWeb広告、それ以外にもメルマガ、DM、アプリ、電話、SNSなどがあり、手法は多岐にわたります。特にインターネットでの情報収集が主流となっている今では、オンライン上に複数のコミュニケーションチャネルを設け、ターゲットと接点を持つ企業も少なくありません。
マーケティングチャネルの組み合わせ方とは?
近年はオフラインだけでなくオンラインにもチャネルが広がっており、企業が顧客と接点を持つ手段も多様化しています。そのため、チャネルを複数組み合わせることで、顧客との接触機会を増やそうとする企業も増えている状況です。そこで本章では、マーケティングチャネルの組み合わせ方やそれぞれの特徴について解説します。
(1)シングルチャネル
シングルチャネルとは、顧客との接点が1つしかない状態を指します。例えば、BtoCビジネスにおいては「実店舗のみ」、BtoBビジネスにおいては「対面営業のみ」といった状態です。チャネル数を絞っている分、顧客とのコミュニケーションはスムーズですが、本来得られたはずの販売機会を逃してしまう可能性もあるでしょう。
(2)マルチチャネル
マルチチャネルとは、顧客との接点を複数設けている状態です。例えば、実店舗に加えてECサイトも展開しているケースが挙げられます。ただし、マルチチャネルはチャネル間のデータ連携ができていないのが特徴です。そのため、「販売場所によって在庫数や支払い方法が違う」というように、顧客側の不便も多い状態と言えます。
(3)クロスチャネル
クロスチャネルとは、顧客との接点を複数設け、データを連携させて管理している状態です。例えば、実店舗で登録した顧客情報やポイントを、そのままECサイトでも応用できるといった状態を指します。在庫データや支払い手法なども全チャネルで統一されているため、顧客は不便を感じることなく情報収集や購買を楽しめるのが特徴です。
(4)オムニチャネル
オムニチャネルとは、クロスチャネルをさらに進化させた形で、複数のチャネルをシームレス(継ぎ目なく)に連携させている状態です。例えば、「ECサイトで予約した靴を、実店舗で試し履きしてから購入する」「通販サイトで購入した商品を、旅先のコンビニエンスストアで受け取る」ということもできます。オンライン/オフラインに関係なく顧客に快適な購買体験を提供できるため、顧客満足度の向上を図れる手法と言えるでしょう。
オムニチャネルについて詳しく知りたい方は、『オムニチャネルとは?注目の背景や実現に必要な取り組みを解説!』の記事も併せてお読みください。
マーケティングチャネルを設計するポイントとは?
マーケティングチャネルを設計する際には、具体的にどのようなことを意識すればよいのでしょうか。
ここでは、マーケティングチャネルを効果的に設計するためのポイントについて解説します。
(1)商品のターゲットを明確にする
効果の高いチャネルを考えるためには、商品のターゲットを明確にすることが大切です。例えば、若年層がターゲットの商品であれば、オフラインのチャネルよりもWeb広告やSNS、アプリなどの方がリーチしやすいこともあります。また、富裕層向けの商品であれば、デザインにこだわったDMで特別感を出すと購買意欲も高めやすいかもしれません。ターゲット層と親和性の高いチャネルを選ぶことで、スムーズに接触機会を増やすことができます。
(2)マーケティング全体の戦略から考える
単発の施策としてチャネルを増やしてしまうと、既存のチャネルと役割が重複してしまったり、データ連携がうまく図れなかったりというリスクがあります。そのため、チャネルを増やす際は、マーケティング全体の戦略を確認しておくことも重要です。例えば、「企業として顧客にどのような体験を提供したいのか」「チャネル間で相乗効果は見込めるか」「データの統合は可能か」などの視点を持っておくと、思わぬエラーも起きにくいでしょう。
マーケティング戦略について詳しく知りたい方は、『マーケティング戦略はどのように立てる?立案のための5つのステップ』の記事も併せてお読みください。
(3)顧客の購買行動をよく理解する
チャネルを設計する際は、顧客の購買行動を深く理解し、それに沿って最適なコミュニケーションを図ることが大切です。その際、「カスタマージャーニーマップ」が非常に役に立ちます。カスタマージャーニーマップとは、顧客が企業と初めて接点を持ってから購買に至るまでの“動線”を可視化したものです。これをもとにチャネルを組み立てれば、「いつ」「どこで」顧客と接点を持てばよいかが明確になり、成果も高めやすくなるでしょう。
カスタマージャーニーについて詳しく知りたい方は、『カスタマージャーニーとは?作成の目的や作り方を分かりやすく解説!』の記事も併せてお読みください。
(4)社内の体制を見直す
新しいチャネルを増やせるかどうかは、社内の人的リソースとも密接に関わってきます。仮にオムニチャネル化で新しくECサイトを立ち上げる場合は、ECサイトを運営するためのスタッフや、データの管理を担う情報システム担当などが必要です。また、顧客データを統合するためにマーケティング部門とも連携が不可欠になるでしょう。このように社内の配置や業務フローを見直した上で、万全の運営体制を整えておくことが重要です。
(5)オフラインとオンラインをかけ合わせる
近年はインターネットを通じて手軽に情報収集できたり、商品を購入できたりする仕組みが整っています。そのため、今までオフライン主体でチャネルを設計していた企業は、オンラインチャネルを充実させることで集客の機会が広がる可能性もあるでしょう。特にオンライン上のチャネルは顧客データをスムーズに取得しやすいため、マーケティングで次のアプローチへつなげやすいのが特徴です。Web広告やオウンドメディア、SEO/MEO、ウェビナー、オンライン展示会など手法は多岐にわたるため、自社の商品に合う手法を選ぶことが大切です。
オンライン展示会について詳しく知りたい方は、『オンライン展示会とは?メリットやブースの出展方法を分かりやすく解説!』の記事も併せてお読みください。
またSEOについて知りたい方は『SEOとは何か?初心者でも分かる認知拡大の基本と具体的な施策』、ウェビナーについては『ウェビナーとは?基礎から成功のコツまで徹底解説』も併せてご覧ください。
BtoBマーケティングでもチャネルのオンライン化を
マーケティング戦略を考える際には、ターゲットの購買行動を細かく把握した上で、最適な場所にチャネルを設置することがポイントです。近年はBtoBマーケティングにおいても、顧客がオンライン上のチャネルから情報を収集したり、商品やサービスを購入したりするケースも数多くあります。だからこそ、オンライン上のチャネルを充実させる重要性は今後さらに高まってくるでしょう。
オンライン上の効果的な販売チャネルとして、「オンライン展示会」が挙げられます。オンライン上で開催される展示会だからこそ、距離や天候などの制約を受けずに幅広い層の顧客と接点を持てるのが特徴です。