BtoBマーケター必読。ベンチャーが取るべきリード獲得施策とコア顧客の考え方【相原ゆうき氏×徳田祐希氏 対談前編】

BtoBマーケター必読。ベンチャーが取るべきリード獲得施策とコア顧客の考え方【相原ゆうき氏×徳田祐希氏 対談前編】

予算や情報が限られるなかで、リード獲得に苦戦しているマーケティング担当者の方も多いのではないでしょうか。
今回は『中小・ベンチャー企業での新規リード獲得施策』をテーマに、Webマーケティングのベンチャーとして広く活躍されている【株式会社free web hope 代表取締役社長 相原 ゆうき氏】【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希氏】が対談。自社での経験をもとに、施策を考えるうえで重要なポイントについて、熱く楽しく語っていただきました。


【後編はこちら】BtoBマーケターが語る、ずばり成約につながるナーチャリング施策は『動画』と『露出』

新規リードを獲得するには、コア顧客の解像度を上げるべし

徳田:
今回の対談、僕らのミッションは、BtoBマーケティング担当者の方に役立つ情報を提供することらしいです。前編では、僕からリード獲得について質問を出して相原さんにお答えいただきます。


相原:
OKです、頑張りましょう(笑)。


徳田:
では早速ひとつ目の質問を。予算もデータも少なく、なかなか正解の施策がわからない中小・ベンチャー企業が実施すべき新規リード獲得施策はなんでしょう?


相原:
あるあるですね。常にそういうテーマと向き合いますよね、我々。まあ、データは積み上げるしかないのですが、施策を決定する上で先に決めておきたいのが、「自社のコア顧客が誰なのか」を具体的に明文化すること。僕らもクライアントの支援を始めるときは、まずそこから着手します。


徳田:
なるほど、顧客の解像度ですね。でもどのように上げていくんですか?


相原:
既存顧客がいるっていう前提で話すと、過去の顧客の中で一番気持ち良く仕事ができた企業はどこかを考える。LTVが長かったり、継続率が高かったりするところはどこか。つまり、そこが自社が最も価値提供ができているコア顧客なので。


徳田:
LTVが長いということは顧客が満足してるし、自社も価値提供できているって話ですよね。


相原:
そうそう。例えば僕たち広告代理店業界だと、一般的には予算が大きい大手企業を受注した方が良いっていう考え方がある。でも僕の経験だと、期末に担当者が変わって再コンペがあるなど、常にリプレイスの脅威にさらされる。つまり、一発は大きいかもしれないけど継続率は短い場合もある。

なので企業規模ではなく、自社のスタッフのレベル感や会社のキャラクター、提供してるサービスが、誰に一番ドンピシャでハマるのかを注視した方が良い。その方が顧客とハッピーな関係を築きやすく、長期的に見ても良いことしか起こらないと思うんですよね。

コア顧客を明文化する方法とは?

徳田:
相原さんはクライアントに対してどのようにコア顧客を明文化させているのですか?


相原:
マーケティング担当者さんの多くは企業規模とかから考えがちなんですが、じゃあそれぐらいの規模だとしても「会社は都内なのか地方にあるのか」また「オーナー社長なのか2代目なのか」と詳細を明確にした上で、それにドンピシャでハマる過去の顧客をバイネームで教えてくださいって言いますね。でも結構出てこないもんなんですよ。

過去に良い顧客がいるにも関わらず、実際のリード獲得となったらそれがいきなりぼやける。そうすると当然コピーライティングや訴求もぼやけてくるから、結果、誰にも刺さらないし、配信のターゲット条件も切れなくて、競合他社との違いがよくわからない訴求になっちゃう。


徳田:
なるほどね。まとめると、バイネームでコア顧客を明確にして解像度を上げる。その上で、その担当者さんに刺さる具体的でエモーショナルな訴求を考えるのが大事だということですね。

コア顧客リストを活躍したオンライン展示会の必勝法

徳田:
ちなみに、コア顧客のリストを事前に持っておくと、オンライン展示会でも勝てますよ。


相原:
えっ?!やばっ、どういうことですか?


徳田:
コア顧客に「オンライン展示会に出ます」と事前に告知するんです。というのも、僕や会社に興味があっても、1対1では問い合わせしづらいって人は一定数いるんです。でもオンライン展示会ならハードルが低いから、結構来てくれるしうまく行くことが多い。


相原:
問い合わせをためらう潜在層に対してのハードルが下がるんだ。めっちゃ面白いですね。


徳田:
コア顧客を明確にしてまずリードを獲得しつつ、オンライン展示会をトリガーにするやり方ですね。みなさんも実践してみてください。

流行りに振り回されては危険。判断基準を身につけて正しいアプローチを選ぼう

徳田:
では次の質問です。コア顧客を言語化していたのにうまくいかなかった場合の要因を教えてください。


相原:
そうですね、コア顧客を言語化したら、コア顧客がどこにいるのかを特定して、アプローチ方法を考えるのが次のミッションです。これが要はWeb施策ですよね。そのとき大事なのは、クレバーなアプローチのアイデアを出すこと。うちの実例ですと、地銀とコラボして共催セミナーを開くとかですね。

リード獲得がうまくいかない人の中には、流行りのデジタルマーケティング手法に惑わされているというか、周りがホワイトペーパーやFacebook広告を出しているのを見て「自分たちもこれをやれば追いつけるんじゃないか」と誤解して、コア顧客に届かない施策を選定しちゃっているケースが多いと感じています。


徳田:
それはコア顧客の解像数が低いから? それとも思いつかなかったってこと?


相原:
両方ですね。おそらくデジタルマーケティングに慣れていないとかで、コア顧客の居場所と手法を結合できる人が社内にいないんじゃないですか?SEOやSNS広告を管理職の方ができる必要はなくても、どんな手段・手法があり、どのぐらいの予算とリテラシーが必要で、どのような効果が得られるのかは知っておかないと判断ができないですよね。


徳田:
僕も経験として「Facebook広告をやってるのに全然コンバージョンしません」と、その商品の詳細ページの分析を依頼されたことがあります。でもFacebook広告だとその商品がすごく欲しいとか有名じゃないと購入につながらない。「ターゲット顧客と施策がずれてますよね」と話をしました。

そんなふうに、手段が目的化してしまってるケースってわりとありますね。そこがコア顧客を獲得できなかった要因なんですかね。


相原:
みんなやっぱり数字を上げたいんで、新しくて効果の出そうなものはやってみたい。その気持ちはわかるんですけどね。


徳田:
やはり何か基準値や判断軸を持ってるっていうところは大事ですね。BtoBだとアクセス数・問い合わせ率・成約率・客単価の中で基準値を満たさないところを直すべきなのに、ただひたすらアクセス数を伸ばそうとしているクライアントがいたりします。そういう方に対して相原さんはどのようにアプローチしますか?


相原:
成約に近いものから一つひとつ質問していきます。「受注率大丈夫ですか?」みたいな。それでもし受注率が低いとしたら、質の悪いリードを獲得してるからなのか、営業力がないからなのか、要因を一つひとつ分解。最終的には良質なインプレッションを獲得できてるのかどうかと話をします。突き詰めれば広告もSEOもインプレッション獲得の手段ですからね。

プロダクトを作る前から営業しておくと、自社のコア顧客がわかる

徳田:
では、最後の質問に行きます。コア顧客がわからず、起業して2年以内の超スタートアップ企業の場合は、どうしたら良いでしょう?


相原:
これはですね、事業立上げフェーズから営業に行くと良いです。商品は無くて良いんで、営業資料を作って「こんな商品あったら買います?」と営業しまくる。で、先に成約を取ってしまう。


徳田:
あー!なるほどね。


相原 :
そうすると、やっぱり相性というか、自分たちのサービスや営業スタイルがこういう顧客にハマりやすいんだなというのが絶対見えてきます。徳田さんも僕もずっと営業をやってますが、やっぱり自分の得意ゾーンってありますよね。


徳田:
あります。


相原:
BtoB取引って、もちろん商品やサービスも重要だけど、なんだかんだで担当者との相性とかもすごく重要です。それで仕事のクオリティも変わるじゃないですか。なので営業を通じて、自分がコミュニケーションを取りやすいボリュームゾーンを把握しておくと良い。そうすればどういう営業組織を作っていけば良いかも見えてきます。


徳田:
そもそも、なんでお客さんがいない状態でプロダクトを作るんだよって話ですね。競合が手をつけていない課題があり、そこを解決するためのソリューションを作るのがプロダクトじゃないですか。でも結構プロダクトアウトな人が多くて、なんでマーケットインして考えないのか疑問です。


相原:
わかります。もうね、「僕の考えた最強のプロダクト」みたいな企画書・提案書を作って事前に営業すれば良いんですよ。もしそこで全然売れなくても、開発費が浮くし、仮説が違ったなってことでやりようが出てきます。なので、営業した方が良いっすね。


徳田:
今回の対談、今いろいろ課題を持ってる方に役立つ情報となったんじゃないですか?


相原:
そうですね。飛び道具みたいな話はできなかったかもしれないけど、やっぱり営業は超大事だし、顧客解像度をはっきりさせればリード獲得もデジタル施策の選択にも有効。そこは本当に押さえておいた方が良いかなって思います。


徳田:
free web hopeさんといえど、意外と基本に忠実ですよね(笑)。この対談を見られている方に、基本をスキップして考えてしまっている方がもしいたら、僕らの話が参考になれば嬉しいです。

【後編】BtoBマーケターが語る、ずばり成約につながるナーチャリング施策は『動画』と『露出』

【株式会社free web hope 代表取締役社長 相原 ゆうき氏】と【世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希氏】が、後編ではナーチャリングをテーマに対談。動画を用いたナーチャリングなど、自身の体験から学ばれたことを赤裸々にトーク。BtoBマーケターは必読です。

監修者画像

株式会社free web hope
代表取締役社長

相原 ゆうき

趣味でゲーム開発やマッチングサービスの開発などを経て、広告代理店のベンチャー企業へ就職。わずか3ヶ月でトップセールスへ。その後、メディア事業の立ち上げに携わり、営業を行いつつも企画や制作も兼任。2011年に株式会社free web hopeを創業し、「期を超える」という企業理念のもと、ランディングページと広告運用をメインに、スピーディーに成果が出るデジタルマーケティングに特化したサービスを提供している。年間100本以上の制作実績から得たノウハウの発信も積極的に行っている。『現場のプロが教える!BtoBマーケティングの基礎知識』(マイナビ出版)を共著。

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世界へボカン株式会社
代表取締役

徳田 祐希

世界へボカン株式会社 代表取締役。「日本の魅力を世界へ伝える」というミッションのもと、デジタルマーケティングを活用した日本企業の海外進出支援・販路拡大を多国籍メンバーと共に15年以上にわたって行い、年商30億→500億に売上を伸ばすなど、数多くの実績を残す。海外ウェブマーケテイングに携わる傍ら、YouTube で年間100本以上の動画を配信し、日本企業への海外進出の啓蒙を行う。Shopifyマーケティングエキスパート。JETRO(日本貿易振興機構)海外Webマーケティング講師。著書に『はじめての越境EC・海外Webマーケティング』(WAVE出版)がある。

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