マーケティング戦略立案に欠かせないマーケティングファネルとは?初心者向けに基礎を解説
目次
マーケティング施策を考える上では、顧客行動から商品やサービスへの関心度合いを分析し、その段階に合わせたアプローチを行っていくことが重要です。この際、顧客の行動をモデル化することで分析の一助とするのがマーケティングファネルです。本稿ではマーケティングファネルとは何か、またその種類や活用方法などを解説します。
マーケティングファネルとは
マーケティングファネルとは、顧客が商品やサービスを認知し、購入に至るまでのプロセスを図式化したものです。下に向かうほど興味・関心の度合いが高まることを意味しており、同時に母数も少なくなることから漏斗(ファネル)のような逆三角形の形で表されます。
マーケティングファネルは一般的に、マーケティング戦略の立案に用いられるモデルです。例えば商品やサービスに対して、興味・関心を持ち始めたばかりの顧客と、すでに比較・検討段階に入った顧客とでは必要なアプローチは異なります。前者にはその商品を使うことでどのようなメリットがあるかを訴求すべきですし、後者に対しては競合商品と比較した場合の優位性を押し出すべきでしょう。
このように、マーケティング戦略を立てる上では、商品やサービスに対する関心の度合いで顧客を切り分け、それぞれに適したアプローチを行うことが重要です。マーケティングファネルは、顧客が商品を購入するまでのどの段階にいるかを可視化し、適切な施策を打てるようにするために重要なモデルなのです。
マーケティングファネルの種類は大きく分けて3つ
マーケティングファネルにはパーチェスファネル、インフルエンスファネル、ダブルファネルの3つの種類があります。
(1)パーチェスファネル
パーチェスファネルとは、顧客が商品やサービスを認知し、購入に至るまでのプロセスを「認知→興味・関心→比較・検討→購入」の4つのフェーズに分け、図式化したものです。それぞれのフェーズを具体的に表すと、以下のようになります。
- 認知:Web広告やテレビCMなどで商品の存在を知る
- 興味・関心:同じ商品を持っている人や取り扱い店舗の存在が気になる
- 比較・検討:商品の価格や評価、競合商品の情報などを調べる
- 購入:購入に至る
パーチェスファネルはマーケティングファネルの最も基本となるモデルで、マーケティングにおける顧客の行動モデルである「AIDMA」を図式化したものと言われています。マーケティングファネルと言う場合、特に但し書きがない限りはこのパーチェスファネルを指すことがほとんどです。
(2)インフルエンスファネル
インフルエンスファネルとは、顧客が商品を購入したあとのプロセスを「継続→紹介→発信」の3つのフェーズに分けて図式化したものです。商品購入後に口コミやレビューなどで情報が広がっていく様子を示しており、フェーズが進むにつれて母数が増えるため三角形(漏斗を逆にした形)で表されます。それぞれのフェーズを具体的に表すと、以下のようになります。
- 継続:商品に満足し、継続的に購入する
- 紹介:友人や知人に商品を勧める
- 発信:SNSやブログなどを通して、顧客自らが商品の魅力を発信する
インフルエンスファネルは、SNSやブログなどを通した顧客のインターネット上の発言力が高まったことで注目されるようになったモデルで、特にBtoC商品で重要とされています。
(3)ダブルファネル
ダブルファネルとは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを統合したモデルです。パーチェスファネルの「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」までのプロセスと、インフルエンスファネルの「継続」「紹介」「発信」までのプロセスを1つの流れとしてとらえることで、さらに大きな効果を生み出そうとする考え方です。
マーケティングにおいては、顧客が商品を購入してくれた段階がゴールではなく、商品のリピートを促し、さらに口コミやSNSなどを通して拡散されるようにすることが重要です。商品が初めて認知されてから、発信されるまでのプロセスをしっかりフォローすることで、さらなる売り上げにつなげることができるのです。
マーケティングファネルの活用方法
マーケティングファネルは、日々取り組んでいるマーケティング戦略の成果を可視化し、問題点を把握するのに役立ちます。
パーチェスファネルを例に取った場合、顧客は「認知→興味・関心→比較・検討→購入」の順でフェーズを進んでいくことになります。先に説明したとおり、それぞれのフェーズに該当する顧客の母数は、下に進むにつれて徐々に少なくなっていきます。
この母数が順当に減っている場合はマーケティング戦略が健全に機能していると言えますが、仮に特定のフェーズで大幅に減少している場合、そこがボトルネックとなりマーケティング戦略が機能してない可能性があります。
例えば「認知→興味・関心→比較・検討」までのフェーズに比べて「購入」フェーズの母数が大幅に減っている場合、「比較・検討」のフェーズで大量の離脱が発生しており、この段階の施策を見直す必要があることが分かります。自社製品の魅力を十分に伝えきれていない、または購入前の最後のひと押しが足りないなどの問題が考えられるでしょう。
このように、フェーズごとの状況を定量的に分析することで、どの段階のマーケティング戦略に注力するべきかを可視化することができるのです。
マーケティングファネルの詳しい活用方法については、『マーケティングファネルとは?3種類のファネルと活用法を徹底解説!』でも詳しく説明しています。
フェーズに合わせた施策が重要
マーケティングファネルにおいて、それぞれのフェーズでは具体的にどのような施策を打てばいいのでしょうか。パーチェスファネルを例に取り、フェーズごとに有効な施策について考えてみましょう。
「認知」「興味・関心」フェーズの施策
まだ認知度が低い「認知」「興味・関心」フェーズでは、まず商品やサービスのことを知ってもらい、興味を持ってもらうことに重点をおく必要があります。そのためテレビCMや新聞広告などのマスマーケティングのほか、Web広告やSEO対策、動画広告など認知拡大を図れるような施策を打ち、母数を増やすことに注力するといいでしょう。
「比較・検討」フェーズの施策
「比較・検討」フェーズでは、すでに商品やサービスを認知し興味を持っている顧客が多くなります。そのため施策を通して商品の魅力を伝え、購買意欲を高めるような施策が重要になります。具体的には顧客の課題を解決できるようなコンテンツの提供やランディングページの設置、ホワイトペーパーの配布など一歩踏み込んだ施策が有効です。また興味・関心の度合いが高い顧客が多いため、オンライン展示会やウェビナーなども有効な施策となるでしょう。
顧客に対して商品やサービスの魅力を効果的に伝えるオンライン展示会については『オンライン展示会とは?メリットやブースの出展方法を分かりやすく解説!』、ホワイトペーパーに関しては『良質なリード獲得に欠かせないホワイトペーパー、その役割と制作・活用方法』で詳しく説明しています。
「購入」フェーズの施策
「購入」フェーズまで降りてきた顧客は、すでに商品に対して高い購買意欲を持った層です。そのため、引き続き商品やサービスの魅力を伝えるコンテンツの提供に加えて、最後のひと押しになる施策が有効です。具体的にはリターゲティング広告やクーポンの配布のほか、BtoBであれば営業担当者からアプローチをかけるのも効果的です。
顧客の思考を理解することが、効果的な戦略立案には欠かせない
モバイル端末やSNSの普及もあり、顧客の購買活動は近年特に複雑化しています。こうした状況下で適切にマーケティング戦略を立てるためには、購買行動を可視化し、顧客の思考をしっかりと理解することが重要です。マーケティングファネルはその理解のためにも欠かせないモデルと言えるでしょう。